糖尿病の人が歯周病になりやすいことは、以前からよくいわれていたことですが、両者の相関関係を明確な数字とともに示すのは、なかなか大変な面がありました。ひと口に糖尿病といっても病状に大きな幅があることや、歯周病自体が罹患率が高い病気であるために、病気の進行レベルまで含めて詳しく調べないと、差を比較しにくいといった理由からです。歯周病である以上、歯科機器により早めに治療することがおすすめします。
歯周病関連細菌から出される内毒素が歯肉から血管内に入り込み、マクロファージからの腫瘍壊死因子α(TNF-α: tumor necrosis factor-α)の産生を促進します。その結果TNF-αの亢進が血糖値を下げる働きをもつホルモンであるインスリンをつくりにくくする(インスリン抵抗性)ことがわかっています。すなわち慢性炎症としての歯周炎の存在により血糖値は上昇し、糖尿病のコントロールをますます困難にし、同時に歯周炎も進行していくという悪循環に陥ります
日本人で痩せている人でも糖尿病になる理由は、日本人の多くに少ない栄養を脂肪としてため込みエネルギーの節約ができる「飢餓遺伝子」が組み込まれているためと言われています飢餓遺伝子は戦中・戦後の食糧難の時代であれば有利に働きますが、捨てるほど豊富に食べ物がある時代では脂肪をためこむため代謝が悪くなりダイエットや美容でマイナス面がクローズアップされます。
糖尿病は、血糖値が高くなる病気です。高血糖は口の中の環境に次のような影響を及ぼします。糖尿病は糖の代謝(栄養素などが体内で利用され、排泄されるまでの流れ)に異常が起きる病気ですが、たんぱく質の代謝も変化します。その影響は、歯周組織内のコラーゲンの減少や性質の変化となって現れ、歯周組織の弾力性が失われ、破壊された組織の修復力も弱くなります。