歯周病が進行すると、歯を支えている歯根膜や歯槽骨といった歯周組織が破壊されます。歯周病治療として細菌をポケット下から除去することにより、歯周組織の健康は取り戻せますが、ひとたび失われた歯周組織は自然には元の状態へ戻ることはありません。しかし、歯周組織の破壊の程度が局所にとどまっている段階であれば、歯周組織を再生させる方法を取り入れて歯を残すことが可能です。この方法はエムドゲインです。
エムドゲインゲルの主成分は、子供の頃に歯が生えてくる際に重要な働きをするたん白質の一種です。これは、幼若ブタの歯胚から抽出精製したもので、手術部位にエムドゲインゲルを塗布することによって、歯の発生過程に似た環境を再現できるのです。このようにして、初めて歯が生えたときと同じように、強固な付着機能 を持つ歯周組織の再生を促します。
この方法の流れについてー(高齢者と高血圧の人は手術の時に 生体情報モニタ が必要)
1伝達麻酔や浸潤麻酔を用いて手術部位の麻酔を行います。2歯肉溝内切開を行います。
3歯槽骨の骨内欠損部に付着した肉芽組織を除去し、歯根面に付いた歯垢や歯石を十分に除去します。4歯根表面に残存するスミア層を短時間のエッチング処理により除去することが望ましい。5滅菌生理食塩液で十分に洗浄する。6洗浄後直ちに欠損底部を起点にし、露出した歯根面全体を完全に覆うように、ゲル状のエムドゲインゲルを塗布します。 7広範囲の安定した縫合に適した縫合材を用いて縫合を行う。
機能的な歯周組織を取り戻すまでには数ヵ月から1年程度かかります。歯周組織が再生する期間、および程度は個人差があり、歯周病の進行具合によっても異なります。術後のスケジュールの詳細も患者さんによって異なりますので、担当医の指示に従い、必ず定期的な検査(歯科レントゲン)を受けるようにして下さい。